2025年4月施行 改正建築基準法

建築基準法が本年・2025年4月に改正され、建築確認審査などの見直しが行われます。この法改正は、建築主にとって朗報だと思います。
これまでは一定規模以下の建築物は、建築士が設計・施工監理を行った場合には建築確認において構造などの一部の審査が省略されてきました(特例制度)
これには一定条件下の木造2階建て住宅なども含まれていたため、多くの住宅が特例制度により審査省略が適用されてきました。
法令改正後は、審査省略の対象になるのは平屋かつ延べ床面積200m2以下となります。このため多くの住宅等が審査の対象になります。

法改正前の「建築士が設計・施工監理を行った場合、構造などの一部の審査が省略される特例制度」については、悪い側面があると思っていました。その1つは、耐震設計がなおざりになり易いことです。
この改正では合わせて省エネ基準適合の範囲も広がり、全ての新築住宅等に省エネ基準適合が義務付けされます。

設計者・建築会社にとっては設計検討・作業量が増えますが、建築主にとっては建物の性能が明確になり大変よいことだと思います。反面、設計料および建築費用は増える傾向であると思います。

この度の法令改正前であっても、長期優良住宅認定などにおいては一定の耐震性能と断熱性能などが求められてきました。
SHIBA建築工房では2010年から長期優良住宅に取り組み始めました。その当初は住宅性能表示制度に基づき、耐震計算を手計算ベースで行いました。しかし定められた計算結果出力フォーマットは、電算機出力用に作られたマトリクス表などのため非常に苦労した思い出があります。例えは正確ではありませんが、活版印刷の活字一つ一つを差し込んでいくように計算結果を入力するイメージです(と書きましたが活版印刷の経験はありません)。耐震性能の計算法である許容応力度計算を全て手計算する方を存じておりますが、設計変更時の再計算を考えると凡人に成せる技ではないと思います。

2010年当時・手計算ベースの耐震性能計算図面(抜粋)


しかし現在ではパソコン上で動作する構造計算ソフトが進化を続け、設計者の負担はかなり減ったと思います。これは前述の手計算ベースの作業と比較してのことです。構造計算ソフトが進化し便利になるにつれ、どのような計算と検討が計算ソフトウェアで行われているか分からなくても結果が出てきます。しかしデザイン面の設計と構造面を同時に考えるためには、ある程度の構造の知識を持った方がよいかもしれません。
という私も、まだまだ勉強の連続です。