気候変動そして自然災害

現在(2019年)から20年ほど前(2000年)頃に新築した家々のお客様には、エアコン冷房をできるだけ使わずに住みたいと考える方が多くいらっしゃいました。しかしそれから10年以上経過した2010年代でしょうか、しばらくぶりにお家を訪問すると、エアコンなしに夏を過ごすことはできないと言われ、ほとんどの家でエアコンが設置されてました。この頃から夏期において通風だけで涼を得ることの難しさを痛感しました。この間に夏の猛暑が増していたのでしょう。

そして2018年は台風21号・24号、2019年(令和元年)は台風15号・19号と強い台風が2年連続で本州に上陸し、大きな自然災害に見舞われました。特に2019年・台風19号(Typhoon Hagibis)は最大瞬間風速60m/sの勢力のまま本州に上陸する可能性が報じられたため、作ってきた家々の無事を祈ると同時に、台風対策ができないお年寄り一人住まいの家などが特に心配になりました。時には地震よりも強い力が建物に加わるのが「風圧力」なのです。

台風対策として大きな窓、特に南面の窓には出来るだけ雨戸をつける設計を心がけてきましたが、2年連続の非常に強い台風上陸を契機に、今までの台風対策では十分ではないと考え始めました。強い台風の本州上陸、これは猛暑または地球温暖化が原因でしょうか。私は気象学は専門ではありませんので、台風の勢力が落ちないまま上陸する要因の海水温上昇と地球温暖化の因果関係まで述べることは出来ません。

夏/冬の中間期である、春/秋に吹く気持ちよい風を家に取り込む「通風」も大切です。そして室内と屋外との繋がりを生む開口部「窓」は豊かな室内空間には不可欠です。
自然災害から守るシェルターだけの家では息が詰まります。快適性との両立を考えた設計が、生活の場である住宅のより良い姿であると思います。生活スタイルの変化だけでなく気候変動も加わり、建築設計の探究に終わりはありません。

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(出典:台風経路図は、気象庁ホームページ>防災情報>台風情報、より転載)