築17年の家を訪問 横浜市戸塚区

2004年に新築した家のお客様から、相談したいことがあると連絡を頂き訪問しました。JR戸塚駅から約1kmほどの位置にあります。
この家は旧家を解体して新築した建て替えですが、旧家には思い出が残るものが複数あり、これを新築する家に用いたいというご要望がありました。

思い出の残るもの、これが壁に飾るもの等であれば難しくありません。しかしそのモノ達は、玄関のケヤキの床板、今はなきお父様が作られた木製建具等々を利用することでした。
大工さんには大変な苦労をかけましたが、無事、新しい家に綺麗におさまりました。

車を複数台所有のお客様は、旧家のピロティ形式の車庫の利便性を気に入っておられ、新築建物にもピロティを希望されました。そのため旧家と同様に1階を車庫にして、その上に2階建物を載せるピロティとしました。

設計施工する私共は、耐震性・耐久性で弱点になりがちなピロティは避けたかったのですが、お客様の強いご希望に応えるため耐力壁の配置を考えて耐震性を確保。
耐久性では、2階を支える独立柱に鋼製柱を用い、さらに安全性を高めるため建物角には2本の鋼製柱を並べて立てました。角に柱2本を立てる設計図をお客様に提示したところ、旧家では柱1本であったこと、そして柱が2本あると邪魔であると言われ、柱を1本にして欲しいと言われました。しかし設計者として、ここだけは譲らずに当初の設計通り2本立てさせて頂きました。

鋼製柱・設計図

鋼製独立柱の設計図


17年後のこの日の訪問時に、設計当時に柱を1本にするか否かと何度も話し合ったことを思い出し、お客様と談笑しました。
この家の設計は今から18年前の2003年。設計時に考えたことが、時間経過により建築物がどのように変化しているかを確認し考える瞬間です。
そして後日、新築後初めて外壁塗装をされました。